―side さくらー


それからというものの、私は考えがまとまらないまま放課後を迎えていた。


「さくら、今日買い物して帰ろうよ!」


どうすればいいのか…。


たしかに、兄に会いたい気持ちはある。


だけど、私は家族という存在を自分から遠ざけて生きてきた。


それは16年間生きてきた中で変わらないこと。


そんな感情が私の中で永遠とループしていた。



「さくら、聞いてた?」


私は、我に返り気づけば友達の沙奈の言葉に気づいた。



「ごめん、なんだっけ?」



「どうしたの?今日、ずっと上の空じゃない?


さくらにしては珍しい。」




「ちょっと、色々あって。」



「悩みがあるなら私が聞くけど?」



「なんでもないの。大したことじゃないから。」



「そっか。だけど、1人でどうにもできなくなった時にはすぐに話してよね?」



「ありがとう。」



私と沙奈は、この高校に入って初めて友達になった。



周りの子はみんな中学校から同じでなんとなくグループに入りづらかった。


そんな時、私に話しかけてくれたのが沙奈だった。



沙奈は私の考えていることをいつも察してくれて、必要以上にしつこく問い詰めてきたりしないからすごく居心地がいい。




「さくら、今日ショッピング付き合ってよ。久々に。」




「そうだね。どこ行く?」



少し、気分転換して帰ろう。



私は、また時間が空いた時に考えることにした。




「その前に、颯太にだけ連絡してもいい?」



「うん。大丈夫だよ。」



それから、私たちはよく行く大きなショッピングモールに向かった。