―side 理人―
物心ついた時から、俺は父親に対して不信感を抱いていた。
どうして、まだ赤ちゃんのさくらを放っておくのか。
さくらのせいで、母親が亡くなったなんて思ったことはなかった。
むしろ、さくらは母がくれた最後の大切なプレゼントのように感じていた。
元々、体が弱かった母。
弟の朝陽や自分を産んだ時も、自分の命か母の命か選択せざる負えない状況になっていたそうだ。
母は必ず子供の命を最優先にして自分たちのことを産んでくれたんだ。
自分たちが自立して収入も安定してきたらさくらを引き取るつもりだった。
でも…。
そんな自分たちの身勝手な考えで、さくらを不幸にはしたくなかった。
その気持ちと相反して、さくらのことを幸せにしたい気持ちもあった。
むしろ、そんな気持ちが勝ってついさくらのいる施設に連絡してしまった。
「まだ、さくらのことで考えてるのか?」
そう声をかけたのは弟で2歳離れた朝陽が話しかけてきた。
「そりゃ…。考えるだろ。
朝陽だって、連絡してから眠れてないんだろう。
目の下のクマひどいよ。」
「うるさいな。
なあ、理人はさくらの顔覚えてるか?」
「えっ?」
「いや…。深い意味とかはないんだけどさ。
ただ、俺達って最後にさくらの顔見たのって赤ちゃんの時以来でしょう?
そこに飾ってある写真で最後だったから。」
確かに。朝陽の言うとおりだ。
さくらと離れてもう16年たったんだよな。
12歳も離れた妹の気持ちを分かることができるのか。
気持ちがわからずに妹を幸せにできるのか。
そんなことばかり考えていた。
「顔は覚えてなんていなくても、大丈夫だよ。
俺たちの大切な妹だ。」
そうだ。
俺たちの妹で血がつながっていることには変わりない。
「まあ、それもそうだな。
何があったとしてもこの手で俺たちがさくらのこと守っていこう。」
「約束しよう。さくらが俺たちに幸せをくれたように、今度はさくらにたくさんの幸せを分けよう。」
そう言葉を交わし、俺たちは仕事に家を後にした。
物心ついた時から、俺は父親に対して不信感を抱いていた。
どうして、まだ赤ちゃんのさくらを放っておくのか。
さくらのせいで、母親が亡くなったなんて思ったことはなかった。
むしろ、さくらは母がくれた最後の大切なプレゼントのように感じていた。
元々、体が弱かった母。
弟の朝陽や自分を産んだ時も、自分の命か母の命か選択せざる負えない状況になっていたそうだ。
母は必ず子供の命を最優先にして自分たちのことを産んでくれたんだ。
自分たちが自立して収入も安定してきたらさくらを引き取るつもりだった。
でも…。
そんな自分たちの身勝手な考えで、さくらを不幸にはしたくなかった。
その気持ちと相反して、さくらのことを幸せにしたい気持ちもあった。
むしろ、そんな気持ちが勝ってついさくらのいる施設に連絡してしまった。
「まだ、さくらのことで考えてるのか?」
そう声をかけたのは弟で2歳離れた朝陽が話しかけてきた。
「そりゃ…。考えるだろ。
朝陽だって、連絡してから眠れてないんだろう。
目の下のクマひどいよ。」
「うるさいな。
なあ、理人はさくらの顔覚えてるか?」
「えっ?」
「いや…。深い意味とかはないんだけどさ。
ただ、俺達って最後にさくらの顔見たのって赤ちゃんの時以来でしょう?
そこに飾ってある写真で最後だったから。」
確かに。朝陽の言うとおりだ。
さくらと離れてもう16年たったんだよな。
12歳も離れた妹の気持ちを分かることができるのか。
気持ちがわからずに妹を幸せにできるのか。
そんなことばかり考えていた。
「顔は覚えてなんていなくても、大丈夫だよ。
俺たちの大切な妹だ。」
そうだ。
俺たちの妹で血がつながっていることには変わりない。
「まあ、それもそうだな。
何があったとしてもこの手で俺たちがさくらのこと守っていこう。」
「約束しよう。さくらが俺たちに幸せをくれたように、今度はさくらにたくさんの幸せを分けよう。」
そう言葉を交わし、俺たちは仕事に家を後にした。