―side さくら―

私は、両親の顔をはっきりと覚えていない。


だけど、言葉だけははっきりと覚えていた。


「お前が、百合(ゆり)の命を奪った。

お前なんて産まれてくる予定じゃなかったんだ。」


そう、父親に言い放たれて今の施設にいる。


だけど、私がなぜそんなことを言われたのか


なんで兄2人だけは大切に育てられてきたのか。



なんで私だけ見放されたのか。



本当の真実は、兄2人と父親しか知らないそうだ。




だけど、これだけははっきりしている。




私が、母親の命を奪った




これはきっと紛れもない事実なんだろう…。



「さくら、朝だよ。」



私を起こしに来たのは、私の同級生でもあり私と同じ境遇で育ってきた颯太が起こしに来た。




「颯太…。


今何時…?」






「まだ朝の5時。」





「ならまだ寝かせてよ…」





「いいから、ちょっと来て。」





颯太が、私を強引に起こすことなんて1度もなかった。





もちろん、私の嫌なことは絶対にしない。





だから、何かよっぽどのことかと思った。




それが、私の人生が360°変えることになるなんて…。