ガラガラッと病室のドアが勢いよく

開く音がした…と同時に

金髪の少年が1人入ってきた。

「離せ…くそババア!」

「優斗!大人しくなさい!」

優斗くん…か。私と同い年ぐらいだな

それにしてもこの病室に人が来るなんて

凄い珍しくてちょっと嬉しいな。

「ほら!優斗!挨拶は?」

優斗くんの母らしき人が優斗くんに

言い聞かせ続ける。

「…おねしゃす」

「ったく…もう、しっかりしなさい!
すみません…優斗をお願いします」

「はい、お任せ下さい」

看護師さんの誘導により優斗くんは

私の前にあるベッドへと移動した。

松葉杖をついているのと足に包帯を

巻いているということから察して

足を骨折して入院したのだと思われる。

「あの…」

「あ?」

ひぃぃぃ!怖い怖い!

めちゃくちゃ睨まれてるんですけど…。

「あ…えっと…よろしくお願いします」

「…あぁーよろしくな」

「えっと…優斗さん…ですよね?
さっき名前が聞こえて…」

「あーそうそう、水島優斗。お前は?」

「私は笹山文香です」

この時だけは自分が病気だと忘れているかの

ような気分になった。