あの時自惚れていた訳ではない。

ただ、あまりにも受け入れづらくて

現実から逃げてしまっていただけだ。

漫画とかでよくみる余命1年の少女が、

大切な人との恋の奇跡で生き返る…。

なんてことが起こらないかなと

毎日のように考えていた。

「うっ…うぇっ…!」

胃の病気のせいで食べ物もろくに食べられず

口に食べ物を含むと、体が拒否反応を起こし

こんな風に嘔吐の繰り返しだ。

私がこの病気を患ったと知ったのは

今から約5ヶ月前────。

私は、16歳という年齢ながら、医師から

『胃がん』と診断された。

そして、今から丁度3ヶ月前

「あなたは…余命1年です…。」

と、余命宣告までされてしまった。

当然言葉が出てこなかった。

信じられなかった。普通に暮らしていたのに

なぜ、私だけこんな思いを…と、

神様を憎んだこともあった。

現実逃避するも、次々と体に起こる異変に

お前の命はあと僅かなんだって

言われている気がして怖かった。

そんな思いのまま、この病室暮らしを

始めてもう5ヶ月になる。

このまま一生を終えるのか…と

いつものように本を読みながら

窓の外を眺めていた。