放課後になり、僕が進路相談室に入ると既に兄が待っていた。
僕の事に気づくと読んでいた漫画を机に置き、満面の笑みで僕を
迎えた。
「今日は七海ちゃんの為にアニメのCDを持ってきたんだよ !!でね、凄いこれが…」
流石に態々呼び出されてオタクな話をされた僕はイライラし始め
た。
兄がちらっとこちらを見るとクスッと笑い、僕の怒りを沈めようと
軽く謝ってきた。
「ただね、オタクの話がしたいんじゃないんだ。僕は担任としても兄としても君を心配しているんだ」
その時は僕が今まで見たことの無いような表情をした、とても悲
しげな顔だった