「頼は……親父さんが水墨画家なんです。結構有名な。その影響で小さな頃は絵を描いてたらしいんだけど、性に合わなくて写真に転向したとかで。自分の好みの人間でも風景でも、被写体を見つけるとあんなにはっちゃけた性格になっちゃって……最近は騒がないから落ち着いたかと思ってたんだけど……」
 

はー、と長い息を吐いた。
 

……それで芸術家体質、というわけか。
 

父親の職業あたりは無論調べがついていた。


けど、どうして咲桜が怯えるほど警戒するのかがわからなかった。


「……俺も大概危ない奴らに関わってきたけど、あそこまで怖いと思った奴は初めてだ……」
 

生徒を怖いと思ったのだって初めてだ。