「ごめんなさい……」


「いや……お前が謝ることではないけど……疲れた……」
 

結局、写真を撮られることがまずい俺は、遙音を生贄にして日義から逃げてきた。


自分の写真は駄目な代わりに、遙音を紹介する、と言うと、日義は渋々ながら引いた。
 

旧館の資料室に入って、ぐったり椅子にもたれかかった。


傍らには咲桜が、申し訳なさそうに立っている。


「でも、大丈夫かな、遙音先輩……」


「あいつはノリがいいから喜んで受けるんじゃないか?」
 

咲桜は未だに申し訳なさそうな顔をしている。


それが気に入らなくて手招きすると、すぐに傍までやってきた。


「大体、なんなんだ? あいつは。日義ってあんな性格なのか?」
 

咲桜の指を絡め取り、そのあたたかさに癒される。


一日ぶりの咲桜だ。少しくらい触ってもいいだろう。
 

咲桜は困ったような顔で話し始めた。