「よかったね。お姫様の声が聞けて。しかも龍さんとこで密談なんてねー」
 

吹雪はさも愉快そうに口を歪めている。
 

俺は、耳に焼き付く咲桜の声が響いて、胸が熱くなる。やっぱり、愛しい――


「別れ話だったりして」


「……!」
 

意地悪く聞こえてきた声に、思わず顔をあげた。


にやつく吹雪が見ていた。


「咲桜ちゃんの家もダメ、流夜の家もダメ。話せる場所は外だけ。……ちょーっと危ないんじゃない?」


「っ……」
 

まさか――そんなことがあるのだろうか。


でも確かに咲桜は言いにくそうだった。


「流夜。これからも付き合っていきたいんだったら、色々学びなよ?」
 

吹雪の声だけが、冷たく響いた。