「こちらこそ」


「ありがとう。あ、でも流夜くんの行きたいとことかも、考えておいて」


「俺?」


「うん。だって、私と流夜くんの話でしょ? 私だけで成立するわけないんだから、私の方だけ通すの違うと思うから。……あれ? 言ってることの方が違うのかな?」
 

言葉にしていてこんがらがってきたようだ。眉根を寄せる咲桜。


「いや……そうだな。考えておく」
 

行きたいところ、というか、咲桜を連れて行きたいところになりそうだけど。


「……咲桜」


「うん?」
 

首を傾げる咲桜を見て、これだけは今日叶えておきたいと思う。


頬に手を添える。


「流夜くん?」


「……まだ、ちゃんとしてなかったなと思って」


「え……」
 

すっと、指を咲桜の唇の端に触れさせる。