『本当……か?』
 

こくり、咲桜は肯いた。
 

咲桜の膝の上の拳が震えているのが見える。


緊張しているようだ。


『……俺、結構面倒だぞ? 生い立ちとか、色々と……』
 

そう言うと、咲桜は一回だけ首を横に振った。


『それが流夜くんなら、いいよ』


『………』
 

なんだよ、その全肯定みたいな言葉。


ずるいだろ、お前。


『……普通に、一緒に外を歩くとかも出来ない。俺たちの場合、周りに知っている人は多いけど、松生以外の友達にも言えない。……それでもいいのか?』
 

そういう犠牲があっても、俺をすきだと言ってくれるのか?