「んだよ。全部知ってんじゃん。そーだよ。

その噂を流したのは俺だよ。でも、仕方ないだろ?

俺の学校には有名な男女がいるんだ。

そいつはサッカーが上手くて、でも女だからって省かれて学校に来なくなった。

そいつがグラウンドに現れたタイミングとサッカーの上手さですぐにその女がそいつだって分かった。

どっかのお惚け女と違ってそいつが女だってのにはすぐに気づいたしな。

別に俺はどっちでも良かった。

ただ上手いやつとサッカーができるのが楽しかった。

なのにそいつが誰かの前では姿を隠すせいで俺は不登校の上級生と付き合ってるとか言う変な噂を流された。

別にそれも関係ないと思った。だけどいつまでも黙り込んで隠れ続けるそいつを見てたら普通は違うのかなって思った。

そいつはこんな風に注目を浴びたくないんじゃないかって思った。

誰にも関わらないで一人でいたいんじゃないかって思った。

だから、俺はあのグラウンドに行く時間をずらした」