「だから、莉花はスポーツが大好きな女の子だったんだ。

小さいうちは良かった。

性別の差なんて関係なく遊べた。

だけど男の子が男の子らしく成長していくうちに、莉花が女の子らしく成長していくうちに、それはどう隠しても目についてしまうようになった。

そんな時声をかけてくれたのが翔だった。

莉花は嬉しかったんだよな?」

「うん……」

ここに来て翔の存在を思い出した私は隣に座る少年を盗み見た。

いつもの元気は何処へやら、翔ちゃんは罰が悪そうに床を見つめている。