駅からこの高校までの道のりに大きな坂がある。新入生は大体登り切ると息が切れている。それくらいにキツイ坂なのだ。陸上部がトレーニングとしてこの坂を使っているらしいのだが、一般生徒には大したメリットはない。
ただ疲れるだけだ。



高校2年となった私は両耳にイヤホンをつけてゆったりと歩いていた。
この坂は慣れるしかない。慣れればそこまで苦でも無い。






耳から流れ込んでくるもう馴染みきった音。歌詞もメロディーも覚えている。
この平穏が私の日常。


















……だったのに。