そんなある日



『じゃあ、また。』



そうして生徒会室を出て


教室に戻ろうと廊下を歩いていると


『おい。』と、後ろから声をかけられた。




その声に振り向くと


いつも生徒会室に居る人が立っていた。



この人は


玲音先輩とかお兄ちゃんと仲良くしている


ところを見るときっと先輩なんだろう。




その先輩が


生徒会室から出てきて

私に声をかけるってことは

私は何か忘れ物でもしてきたんだろうか。



そう呑気に

その人から来る次の言葉を待っていた。








『お前さ、玲音のこと好きだろ。』






『えっ……。』








玲音の事好きだろ……?


え、え何でこの人……知ってるの……





『何で知ってるの?みたいな顔してるけど。』


『いや、えっと……

す、好きですよ。人として……。』





そう言ってこの人を見ると

ジーっと力強い眼力で私を見ていた。




『あ、あの……』



この人に見られると


何故か嘘をつけない気持ちになる。




だけど
女の先輩が好きだなんて


言えるわけないじゃんか。




『俺が、人として好きかどうかなんて

聞くわけないだろ。』




きっとこの先輩は


私の気持ちに気付いている。



嘘をつき続けて


この場から逃げても良かったはずなのに


私はいつの間にか




『……好き…です、よ。』



私の肯定する言葉を聞いた


この人は『ふーん。やっぱりな。』と言い


右の口角をクッとあげた。





『じゃあ、』







そうして、この人は


私の制服のネクタイを引っ張って


この人の顔に


私の顔を近づける。





『ちょっと!危ないっ』



てか、顔近いっ!



至近距離で合うこの人の目に


引き込まれそうになっていると


理不尽な言葉が聞こえてきた。