『ふっ、残念だったな』
なんてニヒルな笑みで言う
私にとって最低最悪な先輩と
気付けば教室で二人きりになっていた。
『残念だったなって、
彼方先輩のせいでしょ。』
私が拗ねたように言うと
『そんなにパンケーキ食べたかった?
なら、今から行くか?』
今までで1番優しい言い方で
彼方先輩は私の顔を覗き込んで言った。
それに何故かドキドキした私は
『別に……、玲音先輩が居なかったら
意味無いし』
少しキレ気味でそう言ってみた。
すると、彼方先輩は無表情、というより
怒ったような顔で私の腕をつかみ
教室を出た。
『ちょっと、彼方先輩!痛いです!』
『五月蝿い。』
昇降口について靴箱が違うから
手を離された。
このまま逃げようと考えていると
圧倒的な速さで彼方先輩は
まだローファーをちゃんと履けていない状態の私の所へ来て
さっにみたいに腕を引っ張って歩き始めた。
学校を出てからもズンズンと進む彼方先輩。
『ねぇ、彼方先輩!どこ行くんですか?』
前を向く彼方先輩の横顔をチラッと見ると
まだ少し怒っていて
話を聞いてくれそうにない。
『彼方先輩!!』
『……パンケーキ屋。』
『えっ!?』
私が驚いた声をあげると
彼方先輩は急に足を止めた。
良くありそうな場面だけど、
私は彼方先輩の背中に激突した。
『痛いよ〜』
鼻が曲がった気がする、
そのくらい痛かった。
彼方先輩はそんな涙目の私の顔を
両手で挟んで上を向かせる。
『なんでしゅか。』
頬を挟まれているため
上手く喋れない。