「……愛子から、二人の関係がもれることはないと信じていいのか?」
在義の声が潜められた。
愛子は三度瞬いた。
「何を案じられて?」
「二人の関係をリークするような者が出て、二人が今以上に面倒な立場に置かれることは、ないと断言出来るか?」
「ええ、できますよ。……小さな頃から知っている子たちですからね。苦しみが幼くして強かった子たちですからね。幸せを、手にしてほしいと願っています」
「……わかった。今の言質(げんち)を信じよう。何か下手なことしたら今の会話流すから」
「……華取先輩相変わらず性格悪……じゃなくて、用意周到ですね。レコーダーいつから仕込んでたんですか」
在義が手の中で遊ばせているのは録音機だった。
「愛子が来る前――俺がここに入った時からだ。もし連絡を取られて、龍生に先手を打たれるようなことがあっても嫌だからな」
「愛子と連絡なんざ取らねーよ」
「あたしは龍生先輩と連絡取りたいですっ!」