ぽん。慰めるように肩に手を置くと、泣きそうな顔で睨まれた。
まあ、自分、流夜の親代わりの一人だし、流夜を後継者として育てた身だし?
流夜の親代わりとして在義に睨まれてやるか。
しかしてめえも随分優しくなったもんだな。誰かのために、なんてな。
「龍生殴っていいか?」
「殴り返すけどな」
殴られたら殴り返す。在義には当たり前の対応だ。
「――で。愛子来んだったら俺抜けていいか?」
「お前がいないと帰っちゃうだろ」
「……お前、俺を何だと思ってるわけ?」
「愛子のエサ」
ガツン。
在義の座る椅子が大きく揺れた。
相変わらず身内にはひでえ野郎だ。
……在義はある程度近しい者には基本容赦しない。
幼馴染の俺は一番の被害者だった。
実際の身内であるところの娘ちゃんは目に入れても痛くないくらい可愛がっているので、均等配分と言うものを覚えてほしい。