葵side
萌花が“KING”の姫になった。
その理由も、萌花が柊っつうヤツの許嫁だからとかなんとか。なあにが、試しに付き合ってみない?だよ。
ガンっ!!!!
ふざけんなっつーの。こっちの気も知らないで、たやすく守るなんて言いやがってクソ喰らえっつうんだ。
もちろん俺は反対だ。けど……、ミサは萌花の思いを尊重しろって言う。
ミサはあの事について何も知らないから簡単に言えんだ。そうたやすく了承できねえよ。
ミサに対してこのような気持ちを抱くことに、嫌悪感を覚える。ぐ、と唇を噛み締めた。
だから、時空が言ったように KINGの奴らを見に行くことにした。
KINGの溜まり場である屋上は思ったよりも広かった。
出迎えてくれたのは、俺のライバルこと柊だった。
萌花はコイツが良い奴だって言うけどよお、コイツ、胡散臭い笑顔ばっかりで腹ん中で何考えてるか分かんねぇぞ。それに、目も死んでる。
ミサ達はそれに気づいてないのか?
それに、こいつらだってそうだ。仲間ならどうにかしてやろうとか思わねえの?
柊の目が、KINGの実態を物語っているように思う。
なんかなんか、こいつら異常じゃね?
ぞっと鳥肌がたつ。本当にこいつらに萌花を預けていいのか?
まあ、言い方は悪いが所詮はコイツ等は暴走族で、世間のハミダシ者。
グレた野郎ばかりの所に、まともな奴はあんま居ねえのかもな。
俺の密やかな希望は砕け散ったのだった。