「えっ、役所?」

(そんなものがあるのかよ!?)

宏美のツッコミに気づいていないと言わんばかりに、彼らは背中を見せると橋とは反対の方向へと歩き出した。

「えっ、ちょっと待ってくださいよ!

間違いがあったってどう言うことなんですか!?」

宏美は彼らの後を追った。

彼らの後を追うようにしばらく歩いていると、白い建物が見えてきた。

あれが“役所”と言うところらしい。

彼らがその建物の中に入ったので、宏美も後を追うようにその建物の中に入ったのだった。

そこにいたのは、七三分けの眼鏡をかけた痩せた中年の男だった。

彼もまた白い服を着ているうえに、頭のうえに輪っかがあった。

「神様、宍戸宏美さんを連れてきました」

冷ややっこが言ったので、
「えっ!?」

驚きのあまり、宏美の口から大きな声が出てきた。