宏美は目の前の天使の顔を見つめた。

（馬にモアイ像に、薬味もしょう油も何にもかかっていない冷ややっこと言うところか…）

目の前の彼らをそんな風に例えたら、冷ややっこが前に出てきた。

「宍戸宏美さんですね？」

確認のためと言わんばかりに聞いてきた冷ややっこに、
「そ、そうですが…？」

宏美は戸惑いながら答えた。

「あの、何かあったんですか？

と言うか…俺、死んだんですよね？」

宏美が聞いたら、
「実は、あなたの死に間違いがあったことがわかったんです」

モアイ像が答えた。

「はっ？」

宏美は訳がわからなくて聞き返した。

「間違いがあったって、どう言うことなんですか？

俺、死んだんですよね？」

早口で聞き返した宏美に、
「詳しいことは役所の方で話します。

今は私たちについてきてください」

馬が言った。