彼女は、大きく息を吐いてから
ゆっくりと話始めた。


『この前、短大の友達とイギリスに行ったじゃない?

その時にね、
偶然にも向こうで
バレエの先生と出会ったの。』


缶チューハイ片手に、
由夏は体育座りをして、

決意の籠った瞳で俺を見続ける。


『それで?』


『その先生にバレエ団に入らないかって………

それで、向こうに行く事に決めたの。』


『俺に相談しないで?』



『それは、悪いと思ってる。
………小さい頃から一流のバレリーナになる事が

夢だったの。

こんなチャンス二度とないかもしれない。
だから……分かって貴也さん。』