『本当に好きなら、奪ってでもいいから…手に入れてやるって。そう、思わないの?

本当に欲しいモノ………
逃げちゃうよ?』


この言葉に
思わず息を飲んでしまった。

━━━5年後。
この言葉が、俺に
ありえない行動をさせようとは・・・



今度は彼女が
後ろから俺に抱きついてきて。

『…は?由夏がそんな女だとは思わなかったよ。
彼氏いんだろ?だったら、俺は身を引くよ。』




『彼氏なんて…もう、とっくの昔に別れてる……

だって、今私の好きな人は貴也だもん。』




『…意味…分からねぇよ。』

やっとの思いで、声を出す俺。


『ずっと前から、私の好きな人は貴也なの。
だから、彼氏とはとっくの昔に別れてるのよ。

………私見栄っ張りだから。
別れた事みんなに言えなくて。

貴也―――私と付き合って下さい。』


そっと振り返る。

すると、彼女の目からは
涙が溢れていた。