「ぢゃあ学ラン返すよ!
ほらこれ。あったかいよ?」
「…いい」

「……?なんで?寒いんでしょ?あたしはへーき!」

「ほんとは寒いくせに…」
「え?」
彼はあたしの手を握った。
彼にふれてなかった手。

あたしの冷たい冷たい
手を握った。

どきどきする。
手があったかくなる。

「俺の方が全然へーき。お前の体温けっこーあったかいから!!ガキだからだな。」

ヘラヘラ笑う彼にあたしはまた抱きついた。
「ふたりで学ラン…嫌?」
「…………いいかもな!!」

彼はあたしを背中からやさしく降ろした。
「ありがと」

あたしは適当な場所に座った。
隣に彼が来た。

あたしは学ランを彼に半分こかけた。
もう半分こはあたし。

あたしの右肩に彼の左肩がぴったりくっついてどきどきする。顔が…熱い。

「あったけー…」
彼はちょっと満足そう。

「ねぇ…名前、名前教えて。」
彼の顔は一瞬びっくりした表情になった。

そして笑顔になった。