春の空間
温もりの中
あれ?あたし
何してるんだろ…
温かい。
今春だっけ…
あたし椿の木に囲まれて寝ちゃった…?
「ん?…起きた?」
「ん………え?」
あたしがいるとこはなぜか温かい。
「おーはよ。」
前から声が聞こえてくる。
男の子の…声。
低くてよくとおる声。
「だ…れ…」
あたしは背中を抱き締めた。
誰かがあたしをおんぶしてくれてる。
「あんなとこにいたって
まだ椿は咲かないよ」
「…知ってるもん。」
「ぢゃあなんでいたの?あんなとこ」
「…」
彼は教えてくれた。
あたしはまだ咲かない椿の木の下で
ぐっすり寝てたんだって。
「寝すぎだろ。」
って笑ってた。
「俺お前が寝てる間となりで本読んでたけどいつまで経っても起きねーし?もうすっかり暗くなっちゃったし?やっぱさみーし!」
「ふは…ふはははは!!!」
あたしは思わず笑ってしまった。