いつも通り、蒸し暑い中を
1人とぼとぼと帰っていた。
前を見ると、女子2人で盛り上がりながら帰る姿。 もう少し遠くを見ると、
男女2人で帰っている姿も。

いいなぁ。

私も、あの人達みたいに...
なんて思いながら、ぼーっと歩いていた。



ドンッ

痛っ!!
おでこを手でおさえながら、
よろよろと前を見た。
すると、


見覚えのある、君の姿。

誰だったっけ.......??
そんなことを考えていたら、

「ごめ.......って、あれ??お前、どっかで
見たよーな...確か....


薫??」


え、
嘘だ、嘘だ。
なんで、分かるの??
私の名前を覚えてくれてるなんて、そんな....
話しかけたい、少しでも、少しでも。
お礼が、言いたい。

「ぁ...ぁ.....ぅ.....」

声が詰まって、何も言えない。
どうしよう、何か言わなきゃ。
また、いつもみたいになる。

君には避けられたくない______

「ぁ...の......ぁ、ありがとぅ....」

なんとか、なんとか言えた。
やっと言葉が出てきた...
すると、急な頭痛。
私はその場に倒れてしまった。

「お、おい!!薫、大丈夫か??
取り敢えず、俺の手に掴まれよ。」

ぁ、どうしよう。迷惑かけてる...
大丈夫だよって、言いたい。
その時、君の声が微かに聞こえる____

「しんどいなら、楽にしとけよ。
俺がいるから。」


え。
嘘。
なんでこんなに親切にしてくれるの??
声が出ない私のことを、避けないの??


あ、やばい

泣きそう。

その瞬間、涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。
それを見た君は、一瞬クスッとして、何も言わずに
私の手を引っ張っていく。
なんなの、もう。
なんでそんなに優しくするの??
優しくされるって、こんなに嬉しいものなんだ..
初めての感情。


私は、君の優しさに少し安心した。






その瞬間、私の心は
君色に染まっていった_________