あれから2週間、出会い系は相変わらず続けていたが出会いがあるはずもなく

金のない俺は暇を持て余していた。

そんな中、レンからメールがきた。



今日とか明日、お暇でしょか?
暇はないですよね。
忙しいですよね?
私なんかと何喋っていいか困りますよね。
いいんです、すいません。
なにかいていいかわかんないんですけど
どうですか?


何?このメール内容。
お暇でしょか?なにこれ(笑)

ちょうど夜は暇してたから、夜ならあいてると送り返した。
俺は車を持ってなかった。

代わりにバイク乗ってたんだ。
ホンダのcbr250r
真っ赤のかっこいいやつ。

レンに初めてあった時もこのバイクに乗ってた。

レンから再度メール

ほんとですか!ありがとうございます!
じゃあ前のファミレスに8時半でいいですか!
待ってます!
絶対来てくださいね!
待ってます!


ここまでくると変に可愛く思えてきたんだが
全部の最後に!これ

俺は女日照りと、金のなさで頭がおかしくなってんだろう。
バカだよ、俺

ファミレスに8時半ちょうどについて
そこにはレンがもういた。

格好はダボっとしたジーンズに、よくわからないダボっとした黒のウィンドブレーカー。
まぁ16には見えない格好だ。

俺「蓮てさ、服もってないの?」

蓮「あ、変ですか?ここ一番のオシャレしてきたつもりなんですが!」

貞子が急にフランクに喋りかけてきた。
わかるか?
ある意味面白いのが伝わるだろうか。

でもよく考えれば、理由はどうあれ16で一人暮らししてれば金なんてあるわけない。

高校すら出てないのにまともな給料なんてもらえるはずないんだ。
俺は馬鹿だ。

俺「ごめん!飯食おうぜ、奢ってやるから」

レン「今日は私が奢ります」
「給料が出たので!大丈夫です、心配しないで好きなもの食べてください」

馬鹿なのか?お前は
そんだけ金ないのに、奢るって
気を使うに決まってんだろが

にしても、こんなに笑顔で言われたら
断るわけにはいかない。
何回か断ったが決意は固いようだ

俺「じゃあ、ハンバーグで」

レン「ステーキとか、ジャンバラヤとかなんでもいいんですよ!本当に!」

ジャンバラヤってなによ、初めて聞いたし。
そもそも気を使って食えねえよ

俺「いいよ、ハンバーグで。それが1番好きだからいいだろうが」

レン「わかりました(笑)私もハンバーグで」

ハンバーグを食べ始めた。
ただ、俺はレンが、何故この歳で一人暮らしなのか

何故出会い系なんかやってたのか
何故友達が欲しいのか

色々聞きたいことがあったが、なんとなく自分から喋るまで待った方がいいんだろうと
思っていた。

くだらない話をして
ふとレンが

レン「バイクって楽しいんですか?」

俺「乗ってみるか?」

レンが目を輝かせて俺をみるもんだから
ちょっと俺も恥ずかしくなった。
なんだこれ?相手はガキだぞ

それからメットを取りに帰って
一時間ほどレンを後ろに乗せて走った。

街の夜景が見渡せる場所、
立ち入り禁止なんだけど、俺が走るときに必ず寄る場所で

一休み。

俺「コーヒー飲むか?」

レン「はい!お金」

俺「奢ってやるよ、これくらい。
俺も貧乏だけど、これくらいの金はある」

レン「お互い貧乏ですね(笑)」

その時に初めて深くレンと話をした。

小さな頃から親はいなかった事。

小学生まで祖父と二人で暮らしていたが
祖父が亡くなって孤児院に預けられた事。

中学を卒業するまでいじめられていた為、
高校に進学は出来たが
またいじめられると思い進学を諦めた事

孤児院に馴染めなかった為、中学卒業と同時に、小さな工場に就職。
一人暮らしを始めた。

祖父だけが信用できる人で
話を聞いてくれるのは年上の男性という、思考回路になったこと。

そこで出会い系を利用して出会い系の中でもそこそこ年上の俺がヒットしたってわけ。

35ってかなり上の部類に入るって知ってびっくりしたよね(笑)そして俺は凹んだよ

ちょっと俺が祖父に似てたらしい。
俺おじいちゃんかよ

まぁ俺もレンの事を娘みたいな感覚だったけど。

なんかこんな歳で色々あったんだなーって
ちょっと切なくなったよね。
俺よりちゃんとしてる気がしてさ。

ただ、話し相手が欲しかったんだって。

仕方ねえな、この俺が話し相手になってやんよ

もうそこまで夏が迫ってる。
早くしないとな