暫く経った頃
彼がそっと振り返った。




そこでまた数秒間見つめ合う私たち



やっと口を開いたのは



…_彼。



「おう、どうした?」


私がいた事に驚きもせず、淡々と問う。
その声は妙に落ち着いていて自然と耳に入ってくる。


「…道に…迷いました」

そう私が答えると
そこでやっと目を見開く彼。


そして数秒後には、

花びらを眺めながら眉をたれ下げていたなんて
微塵も感じさせないような笑顔で笑うんだ。