「仲が良いんですね」


思わずそう零すと、国王陛下がまた吹き出した。


「ああ。王室の人間の親子では珍しいけど、仲が良い方なんじゃないかな」

「そうなんですね……」


見た目に反する穏やかで優しそうな人柄に未だに動揺が隠せず、心臓が痛い。

上の空で返事をすると、誰もがうっとりと頬を赤く染めてしまいそうなほどの甘い笑顔をたたえたまま、国王陛下は口を開いた。


「君のご家庭はどう?」

「えっ……」

国王陛下が何気なくした質問に、私とエリオット王子の間の空気に緊張感が走ったのが分かった。

どうか下手なことを言ってくれるなよ、と言わんばかりに、エリオット王子のてによってドレスの腰の後ろに結んでいるリボンを、軽く引っ張られる。

レディに対してそれはどうなの、と思いながらも、私は息を吸い込んで、にっこりと笑った。