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「お久しぶりねぇ」


緊張で肩を強ばらせる私とは正反対に、穏やかで間延びした声が響いた。

シャンデリアの明かりに反射する茶金の髪の毛をかっちりと後ろにまとめ上げて、上質な絹糸で織り上げられた紅いドレスを身にまとった女性。彼女が女王陛下だ。

色白で垂れ目がち、しかし眉は利発的につり上がっていて、それがまた不思議な色気を放っている。

年齢不詳、とはよく言うが、気品のある大人の顔立ちに、少女のような可愛らしい表情を覗かせる彼女は、まさにそれだ。


「ああ、楽にして。今日はお茶を楽しみたいと思って来たの」


給仕の若い男性が手際よくティータイムの準備をするのを横目に、女王陛下は朗らかに笑った。