「こんな時に、何!?」


激しく揺れる地面と、崩れ落ちてくる岩や土。


「このままだと生き埋めだな」


エリオット王子は一人平然とその場に立ったまま、呑気にそう呟いた。

私は信じられないものを見るような目でエリオット王子を見上げる。

どうやら彼には打開策はないらしく、諦めたように銃を構える腕を下ろして、方を押さえてうずくまるクリストフ王子を冷たく見つめていた。


「もう、《血印の書》だか何だか知らないけど、魔法の何かなんでしょう!?だったら私達を助けてみなさいよ!」


宙に浮かんだままの《血印の書》に手を伸ばして、掴んだ。

乱雑にそれを開くと、一際大きな爆音が響き渡った。音のした頭上を見上げると、私よりも一回りも二回りも大きい岩が今にも崩れ落ちそうになっていた。

もうダメ、と思って咄嗟にエリオット王子の腕にしがみついて――再び光に包まれた。