一時間後、いつもの居酒屋の前で落ち合った。カウンター席に座って、ビールとおつまみが席にきてすぐ「で、どした?」と聞かれる。


「なんでそんなに浮かない顔してんの?今日、大学生と出かけたんだろ?」
「うん、コクハクされた」
「は?!」
「え、ちょ、いまビール吹き出した?!」
「そんなのどうでもいい!で、お前もちろん振ったんだよな?」


そう言った相澤はあまりの剣幕で、思わず「ひっ!」と悲鳴を上げそうになった。
「当たり前じゃん!」と言えば、今度はほっと胸を撫で下ろしている。情緒不安定かこの人は。


「大学生となんて付き合ったら、劣等感でストレス溜まりすぎた挙句禿げそう」

「お前そういうとこあるよなー。まあ俺も大学生と付き合うのは大反対だ」

「でも何よりさ、」

「うん?」

「わたしみたいなダメOLと、付き合うなんてかわいそうだと思っちゃったんだ」

「おま、」

「零の未来を、わたしが潰したくない」

「は、お前、それ、まるでそいつのこと、好きみた」

「待ってそれ以上は言わないで。てか全力で違う」

「だってお前、顔真っ赤だぞ」

「うるさい。何も言うな。お願いだから」


わたしはそう言って、熱い顔を冷ますべく、キンキンに冷えたビールをぐいっと飲み込んだ。