今日は授業も全然集中できなかった。電車の中で心臓をトクトクいわせながらシュミレーションしてみる。どう謝ろうか…。謝っても許してもらえなかったらどうしようか…
怖くて怖くてここから逃げ出して家に帰りたいくらい。私の心はきっと今、氷みたいに冷たくなってる。指先が冷たい。
「水町駅ー水町駅ー」今日のアナウンスは、いやに冷たい気がした。
電車のドアが開き、とん、とんと電車をおりる。
「いよいよ、か…。」
もういっそ死んでしまいたい。そんなに苦しい気持ちなのにやっぱり私の足は改札口に向かう。どくどくどくどく血の流れを感じる。ぴ、と改札を抜けた。もう美海が来ている。
「美海…」
思わず俯く。
「よぉ茉夏。ひ、久しぶり!」
「瑠璃香と…沙苗は?」
「まだ来てないよ、茉夏って弓場高だっけ?わたしは白花高(しろばこうこう)、瑠璃香は夏代高(なつしろこうこう)沙苗は三谷高(みつやこうこう)行ってんの。」
「そうなんだ…。」
「うん、あっ!2人きたよ!」
瑠璃香と沙苗が駆けてくる。
「よっ!久しぶり!」
「久しぶり〜」
「うん、久しぶり…。」
「取り敢えず移動しよっか」
「うん、水間方面のファミレスでいい?」
「わかった!」
「行こ」

歩きながら、みんな黙りこんでしまう。どうしよう、気まずい。
カランコロン、いらっしゃいませ、何名様ですか?お馴染みのやり取りを済ませ、席につき、それぞれがなにかを頼む。私はアイスコーヒーとプリンを頼んだ。
「さてと、本題に入ろっか。」
「茉夏?話したいことがあるんじゃないの?」
私はついに決心した。言うんだ、言えっ!
「まずはごめんなさい!陸上部の最後のあの日こけて…」
「なんだ、そのこと?」
美海がカラッと言うもんだから拍子抜けしてしまう。
「うん…私のせいで団結力もなくなって県大会にも行けなくて…」
「あーね、そんなこと気にしてたの?」
「そんなことって…」
「あのね、正直その頃はイラついたよ。中学最後の大会だったのにって。」
私は思わずしゅんと項垂れる。
「でもね、その時はその時で、仕方ないって気持ちにもなったんだ。」
「るりも。すぐ許すつもりだったの。」
「でも、茉夏がホント拒絶してるかんじだったから。タイミングなくしちゃった。」
絶句した。3人はとっくに許してくれてたんだ…。私が不安に思って拒絶してただけ…
「そうだったんだぁ…」
はぁぁぁぁ、と思い切り息を吐く。ほろ、と涙が零れる。
「もー!茉夏ぁ泣かないでよー」
明るい雰囲気が私達を纏う。
「ねね!今の話しよ!今の話!」
「うん!」
丁度みんなが頼んだものが運ばれてきた。今日は帰るのが遅くなりそうだ。