「で、昨日言ってたのは?」
「・・・。あたしいじめられてたんだよね。」
「え…?」
「普通の無視。バドミントン、昔からしてたって訳じゃないのに結構上達して?みんなに妬まれてさ。茉夏が茜ちゃん守った時。すごくドキッとした。ちょっと嬉しかった。でもいじめの原因はそれだけじゃないんだよね。家庭環境。あたしの大きな秘密。うちのおじさん。犯罪者なんだ。しかもかなり悪いことして。無差別連続殺人事件。茉夏も知ってるでしょ?あの事件。やったのうちの、おじさん。」
「え、そうだったんだ…。」
「だから殺人に加担したんじゃないか、とかあらぬ噂立てられて。こっちに逃げてきちゃった。だから愛結からみたら殺人者の家族でサカって言われてたのにちゃんと美結って呼ばれててずるいって。もちろん愛結も愛結ちゃんってよばれてるみたいだけど。」
「そっか。話してくれてありがとう。美結は大事な親友だから。」
「茉夏ぁ…」
親友の潤んだ瞳は澄んでいて。ホントに綺麗だった。そろそろ私の秘密も話すべきかもしれない。美結になら、話せるかもしれない。
「私にも秘密、あるんだ。うちのお母さん。精神的に参ってるんだよね」
あは、と乾いた自分の笑い声が耳障り。美結は真剣に聞いてくれている。
「だから、シネとかコロスとか言われるんだけど、精神病だから、仕方ないって思うようにはしてるんだけど、辛くて辛くてたまんなくてね。助けてって叫ぶのにその声を閉じ込めちゃって。」
「お互い家庭環境」
「大変だな」
あははっと笑う。人の秘密は案外大きい。