「えっと今日体験を担当する?ん?担当でいいんかな?」
「はいー、自主ツッコミお疲れ様ー。2年生の田辺 美春(たなべみはる)と」
「深山叶恵(みやまかなえ)でーす。」
「よろしくお願いします。」と松下さんと声が合う。他にも何人か体験に来ていた。
「このラケットつかってなー」
田辺先輩からの指示がとぶ。
「2人とも初めて?」
「はい」とまた声がそろう。
「じゃあえっと打ってみよっか!んーと、森下さんとー石坂さんだっけ?こっち来てくれるー?」
「はーい。」
相手がわの女の子がサーブを打ってくる。まさかのこっちにくる。
がすっ。
あれ、おかしいな。もう1回。
がすっ!
えー?なんで?バドミントンとか簡単だろうと思ってたのになぁ…。

「ふふっ。あー、ごめんね、思わず昔のうちらおもいだしちゃってね。」
深山先輩がふわりと笑う。ふいうちの笑顔にどきっとしてしまう。
「はじめはみんなそうなのよ。体験きたらすぐぱーんって打てるのかなって思っちゃって自分の出した打った音にびっくりするの。」
ほぉ…。と感心してしまう。
「ぱーん、ぱーんて音を出したくて、わたしはバド部に入ったの。」
かっこいい。私は深く、こくりと頷く。
「茉夏ちゃんも入らない?一緒にぱーんって音、だせるようになろうよ。」
あの、陸上を始めたときのような、そんなやる気が心にみなぎってきた。
「はい!はいります!」
私はぱっと顔をあげて気持ちがかわらなうちに深山先輩に宣言した。その声には、いつものうじうじは入っていなかった。