「なあ、結木(ゆうき)、お前バドミントン部入んねぇ?」
吃驚した。突然話しかけられたから思わずビクンと肩が弾む。しかも高校に入学してから1週間、話したこともない男子だったから正直あ然とした。
「え?なぁに?バドミントン部?」
「あぁ、部員結構いるにはいるんだけどさ、お前部活決めてねーだろ?弓場高は全員部活はいんなきゃなんねーからどうかなって…」
彼がどんどん赤面していくもんだから、思わず「ふふっ」と微笑してしまった。
「おい、笑うなよー…照れるじゃん…」
「ああ、ごめんね?私のために教えてくれたんでしょ?」
「おぅ。結木、元陸上部だろ?体力ありそうだし、やってみねーか?」
「なんで知ってんの!」
「だって俺も陸上部出身だし…」
「そーだったんた!でも有名じゃなかったでしょ?」
「あ、うん、まぁその…」
照れてる彼をからかうのも可哀想だから
「まぁいーよ」
と笑顔を向けた。
「考えてみるねっ」
目元をくしゃっと細めて笑い、振り向いた。
「入部届け、来週までだかんね!体験入部今日あるから!俺はもう入ってるから」
彼の声が徐々に遠ざかりゆく。取り敢えず行ってみるか、と心に決めた。