2週間後、スプリングカップという大会があるらしい。3年と2年選抜の先輩がでるらしく、1年生は応援をするらしい。初めて見るナマの大会。ちょっとそわそわする。楽しみ。先輩たちは忙しそう。頑張って応援しなきゃ。

先輩の発表があった。3年生はとにかく全員。2年生はすず先輩、奏先輩、夕花先輩、美春先輩、絵梨香先輩、茜先輩、依先輩がでるらしい。
発表があったとき、私はぞっとした。勝負の世界…選ばれない人の存在があること。瑠香先輩、カナ先輩、美海先輩、里羽先輩、里奈先輩の5人は出られないそう。結局は実力で決まっちゃうんだよね…。来年とか、うちらが出られる年代になったときが怖い。

その日、カナ先輩が
「一緒に帰ろ」
と言ってくれて、一緒に駅までの道を行きだした。カナ先輩こと深山叶恵先輩とは、体験入部の日からすごく仲良くなっていて、茉夏、カナ先輩、と呼びあっていて、ときどきタメ口を交えるくらいの仲になっていた。
「先輩、今日はどうして…?」
「ごめん、愚痴りたくって。今日の発表聞いたでしょ?」
「うん。」
「そうゆう系の愚痴、同級生にはあんまり話せないからさ」
「あぁ…」
そっか。それは選手としては耳が痛い話だろう。自分が蹴落とした、みたいな感じなのだろうから…。
「もしさ、1週間前の練習で、奏に勝ってたら。校内戦でもっと勝ってたら。うじうじずっと考えちゃうんだよね。今日もやっぱり泣きたくなったけど、なんとか涙抑えてさ。唇ぎゅーっと噛んでたから、唇がほんのり痛いよ」
あはは、と苦笑するもんだから、なんとも言えなくなってしまった。先輩が涙目になる。
「あーもー、悔しいなぁ。うぅ…」
ほろ、っと涙が零れ出た。
「あ、ごめん。でもやっぱり1人では泣きたくないんだ。1人で泣くくらいなら誰かに泣いてるとこ見られる方がマシなんだ。」
ぽたぽた、と水滴が地面に染みてく。
「あーあ!やんなっちゃう。なんで出られないんだろ。悔しいなぁ。」
「そう、ですよね…」
「うん、なのになんでこんなにお腹がすくんだろ。」
涙を零しながらえへへ、と笑う。
「わたし格好悪いよね。先輩じゃないみたい。」
「そんなことないですよ!試合とか出られなかったら悔しいのは当然です!」
「・・・。ありがとぉ…ほんとにいい後輩をもったよ」
ぺろっとちょっぴり舌を出す先輩。先輩…。
「こっちだっていい先輩をもちましたよー」
「えへ、ありがと!」
「もぅ、先輩、泣かないでくださいよぉ!どっか寄ってかえります?」
「そうだねー、コンビニ寄って帰ろ!新作のケーキ食べちゃお!今までの自分へのご褒美だ!」
「そうですよ!まだ次がありますよ!」
「そうだね!次は勝つぞー!」
「頑張って下さい!」
私たちの後ろ姿はきっと、いかにも青春って感じなんだろうな。