事態が急変したのは、アルさまが出発し一週間が過ぎた頃だった。
バタバタと城内が慌ただしく、その異変に気付いた私は共にいたコハクくんと廊下に出た。


「何事」

「騎士団が戻って来られるそうなんです」

「えっ!?」


コハクくんが側を通った従者に問うと、帰ってきた返事に声をあげたのは私。
戻ってくる。
戦は終わったのだろうか。

今回の戦はいつもと違う感じだった。
だから、長引く物と思っていたのに。


でも、戻って来られる。
アルさまは。
アルさまは、無事だろうか。

他のみんなは。
怪我をした人はいないだろうか。


「それで、なんでバタバタしてる」

「それが、なにやら様子が変で…」

「様子?」

「もしかしたら敗戦だったのではと噂が」


敗戦…?
負けるというのは、どういうこと。
どうなったら負けなのだろう。

これまでとは違う?
これまでの戦はかっていたというのだろうか。それとも、引き分け?
じゃあ敗戦とは…。