「あっ!」


何度目だろうバランスを崩し倒れこむのをキースに支えられる。
さっそくリハビリを始めた私は、うまくバランスが取れず何度もこけそうになっていた。


「リズさま、少しお休みになった方が」

「ううん。大丈夫。もう少しでコツが掴めそうなの。だから、もう一回」


汗をにじませながら私は強い意志を持ってそう言った。
そんな私にキースは眉を寄せながらも付き合ってくれる。

壁に手をつき、片方の手をキースに支えてもらいながら立ち、ゆっくりと前に進む。
麻痺の残る左足がうまく上がらず、引きずるようにしか前に出せない。
それに体力を奪われ、表情を歪ませながらそれでも前に前にと進ませる。


「はっ、はぁっ、…ふぅ。こけずになんとか行けた」

「ええ。よく頑張りましたね。少し休みましょう」

「うん。ありがとう」


キースに抱上げられ椅子まで運ばれる。
最初は恥ずかしかったこの行為も、少しだけ慣れた。