「王妃さま?」
「あ…、すみません。考えこんでしまって」
「思い悩むなという方が無理でしょうが、あまり無理をなされるな。貴方がふさぎ込んでいると胸を痛める人がこの王宮には多いようだからね」
「え…」
「皆、心配していたよ。早く元気な姿を見せておやり。ああ、もちろんムリにというわけではないよ」
「…はい」
そうだ。
随分心配をかけてしまっている。
アルさまにも辛い思いをさせてしまって。
あんな風に、険しい顔をさせてしまうなんて。
「ありがとうございます。こんなことに負けないように、前を向けるように頑張ります」
そうだ。
負けてなんていられない。
毒になんて負けてたまるか。
アルさまの側にいると決めたのだ。
立ち止まってはいられない。
少しでもリハビリをして、見た目にわからないくらいにしなくては。
王妃として。
誰にも、劣ると思われないように。