アルさまが連れてきてくれたのは、王城の中庭。
そこには綺麗な花が咲き誇る。

以前も来たことのある素敵な場所だ。



「アルさま…、連れてきたい場所というのはここですか?」



以前の候補者選びの時、共にここでピクニックをした事を思い出す。
とても心地のいい時間だった。
アルさまにとっても、そうだったのだろうか。
だから、またここに?

私の誕生日に共に過ごそうと考えてくださったのだろうか。



「この庭園をリズに贈ろう」

「え…?」

「好きな花を植え育てるといい。手入れは大変だろうから、共に庭師を一人を贈る。好きに使え」



好きに使え…?
その庭師の方をという事だろう。

王族の方の贈り物というのは、規模が違いすぎて圧倒される。



「あ、あの、人なんていただくわけには…」

「庭師はおまけのようなもの。メインはこの庭だ」

「それでも、このような大層なもの…」