「それよりも、着替えて用意を済ませたら連れて行きたいところがある」

「連れて行きたいところ…?」

「ああ。一度俺は自室に戻る。準備が出来たら訪ねてきてくれ」




そう言うとアルさまはそそくさと部屋を出て行ってしまった。
目まぐるしい展開に驚きながらも、アルさまを待たせてはいけないと慌ててベッドから降り着がえるためにクローゼットに向かう。

クローゼットといっても、一部屋ほどの広さがあり、十分にここだけで生活できるのではと庶民育ちの私は思うのだ。




「いつになっても、ドレス選びは迷うのよね…」



煌びやかなドレスは相変わらず着慣れなくて。
選ぶのにも気後れしてしまう。

でも、アルさまの側にいるのにそんなことを言ってはいられない。


出来るだけ自分に合いそうなドレスを見繕う。
着替えを済ませるとすぐにアルさまの部屋へと向かった。



「アルさま…。リズです。お待たせいたしました」