「一番に言いたくて来たが、寝顔が愛おしくて起こすのが憚れた。だから、起きるまでその寝顔を見ていたのだ」

「は、恥ずかしいです…」



寝顔を見られていたなんて。
変な顔をしていたら…、変な寝言でも言っていたらどうしよう。



「へ、変な事…言ってはいませんでしたか?」

「変なこと?…ああ、なんとも幸せそうに笑っていたな」

「ええっ!?」



かあああっと顔に熱が集まる。
恥ずかしすぎて穴があったら入りたい。
そんな私をアルさまは可笑しそうに笑う。
アルさまのそんな笑い声あまり見たことがなくて、嬉しいけれど。
それとこれとは、話が別なのだ。



「恥ずかしがることはない。とても可愛らしかった」

「うう…、酷いです、アルさま…」

「いいものを見た」



アルさまはとても楽しそうだ。
それが私の寝顔を見たからだというのは、なんとも恥ずかしく消し去りたい。
でも、私を見てそんな風に思ってもらえる、その事実だけは嬉しくてとても複雑な気持ちだ。