私は、そんな日々の目まぐるしさのため、すっかりとその日を忘れていた―――――――。






開かれたカーテンから陽の光が差し込んでくる。
その眩しさに瞳を開くと、私の眠っているベッドの脇にアルさまの姿を見つけた。



「…っ!?」



間近に見えるアルさまの顔に驚き飛び起きる。



「おはよう」

「お、おはようございます…。あ、アルさま…、どうして…」



恥ずかしさにしどろもどろになりながら、慌てて布団を肩まで引っ張り上げた。
ナイトドレス姿を見られるのは少し恥ずかしい。
寝起きの顔だって、きっとだらしがないだろう。



「おめでとう。リズ」

「え…」

「21の誕生日であろう?一番に、お前にそれが言いたくて来たのだ」

「あ…」



3月3日。
それは私の誕生日だった。
すっかり、忘れてしまっていたことに気づく。