「何度か話をしたことがありますが…。アルさまは完璧に王妃という存在をこなせる者がよかったわけではありません。貴方自身がよくて、あなたを王妃に選んだのです」

「…はい」

「そのことは、忘れないでください」



私自身…。
必死になりすぎて、忘れていたのかもしれない。

私だって、アルさまの事を王さまだからと側にいたいのではない。
不器用で懸命に生きるアルさまだから好きになったのだ。




「程々に…頑張ります」

「はい。そうしていただけると安心です」




私を選んでくれた意味。
アルさまは王族であるのに私を選んでくれた。

きっと、王族の立場で言えば、私なんて一番選ぶはずのない存在だ。
それでもアルさまは私にいてほしいと言った。


その想いに応えるのは、ただただマナーを身につけ知識を叩きこみ王妃としての振る舞いだけを完璧にすることではない。


キースさんが言いたいのはきっと、そういうことだ。