時間は刻一刻と迫る。


目的地まで残り5分前になると静かになった。


ヒソヒソとかすかに声が聞こえる程度。


係員が口を開く。


「はい、つきました」


バスはゆっくり止まる。


「前の方から順番に降りてください、その際にお金ではなくパスを入れて下さいね」


係員がそう言うと、順番に前から人はいなくなっていく。


パスを入れる手が震えている人もいた。


バスを降りると違う係員が立っていて指示をしている。


「ご苦労さまです、あちらにどうぞー」


係員が指差す方へ皆足を進める。


古い旅館のようだった。