母さんに手ぶらで行くのはあれだからって、先生からもらった花束と、冷蔵庫にあったキンッキンのオレンジを持って行くことにした。

……何か緊張するな。
……病院なんて久しぶりだし。

ここ、「浜辺の病院」は見た目が凄く古いが、中にいるお姉さんがとても可愛……
窓からみる浜辺通りとひまわり畑の景色は最高なのだ。

「受付番号28番の方。どうぞ。」
ひぃぃぃ!
俺の番号だ。

「夏芽ちゃんのお見舞いに来てくれたの?ありがとうね。さぁこちらよ。」
やばい。美女だ。
こんなに可愛いなんて。


「ここよ。私はいなくて大丈夫?」
ほんとはいてほしいけど……
赤くなりそうな顔を我慢した。
「大丈夫です。ありがとうございます。」

コンコンっ
ノックをして入る。

結構広い病室だな。
部屋には2個ベットがあって、手前のベットは「三波 りり 」という人が使ってるらしい。
という事が奥が……?

恐る恐る、抜き足差足忍び足で行った。

「あっあのっ夏目さん……」
折原 夏目と思われる少女は、風邪も吹いていないのに、茶色い髪をなびかせながら、こちらを向き、


にっこりと微笑んだ。