かいとは…。
あたしの目を見て、
ちょっとだけ目を細めた。
そして、何か言おうと口を開けたその時。

教室のドアが開いて、
ほら、座ってー。と、先生が入ってきた。

そのまま前を向いてしまったけど…
何を言おうとしたのかな…。

気になるけど…
自分からは、まだ話しかけられない。

ああもう!
もう少し…自分に自信を持てたらな…。
ぐいぐいとアピールできるかもしれないのに。
いくら頑張っても、まだまだかな…。


なんとなく…気持ちが沈んだままの放課後。

かいとの絵を、本格的にキャンバスに
書き始めていた。

これが出来上がったら…
あたしから、かいとに話しかけよう。

そのためにも…頑張って書かないと。
もし、話しかけられたら…何か…
変われそうな気がする。

その日は、一番遅くまで夢中で書いていた。



すっかり暗くなっちゃった…。
部活帰りの人も少なくなってる。

家まではわりと近いので、あたしは
自転車通学だ。

けど、帰ろうとして自転車置場から
自転車を出すと…

ん?なんか変…。
よく見ると、前のタイヤがパンクしていた…。
え…どうしよう…。

バスで帰ろうか…でも、自転車…。
迷っていると、後ろから

さき?と、声がした。