あれから、アプリを開いても
新しいクエストは出なかった。

しばらくはチャレンジタイムが続くと
いうことかな…。

それでも、witchからのアドバイスは
毎日変わっていた。
いわゆる自分磨きの、提案。

姿勢を良くすると、よりキレイに見えますよ。
とか、
口角を上げる練習をしてみましょう。
とか、
爪の手入れを上手にしてみましょう。
なんてのを、律儀に守って日々を過ごして
いたら…。

気のせいだろうか…。

時々、かいとと目が合うような気がする。
目が合うと、さりげなくそらされるので
あたしの願望のせいかもしれないけど…。

でも、春樹とは、時々間違いなく目が合う。
なんせ、春樹は目が合うとそらさない。
まあ…その度に変顔するから、
あきれてしまうけど。

あたしの気持ちを知ってるから…
かいととのこと、応援してくれてるんだよね。
あいつは、あいつで…優しいんだろな。

あの変顔は…ひどいけどね。
思い出して一人でクスクス笑っていたら、
ふと、隣から声がした。

なに、一人で笑ってんのー?

…え?
隣を見ると、やっぱり…かいとだった。

春樹の姿はない。
かいとが、春樹もいないのに話しかけて
くれたことは一度も無かったから、
ちょっと驚きながら…

なんでもないよー。
ちょっと思い出して笑ってただけだよ。
と、答える。

前よりは緊張しないで話せるようになった。

witchのアドバイスを思い出した。
彼と話す時は、目に気持ちをのせましょう。

すきだよ…かいと。

心の中で思いながら、見つめてみた…。