それから、15年後ーーー
12月25日
どこかで鐘の音が響いた。
懐かしさのなかに悲しさが含まれているような絶妙な音だ。
なにか聞こえる……?
陸「…ぃ、起きろ!!なぁ、起きろって!!」
『…んもー、なにー
朝からうるさいなぁ…』
体を揺すぶられ無理やり起こされたことに
苛立ちを覚え私は重いまぶたをあげた。
どうやら幻聴の声の主は
陸〈リク〉だったようだ。
空「クリスマスに雪降ってるよ!!
ほら、ぼーっとしてないで外いこ!」
(雪…?
まさかのホワイト・クリスマス!?!!)
ベッドから身を乗り出し窓の外を見ると、
確かに雪が積もっていた。
『きれーぃ…!』
吸い込まれそうなくらい辺り一面純粋な白色で覆い尽くされていた庭は、まるで異世界のようだった。
降り積もる雪に見とれていたら
陸と空が玄関から勢いよく飛び出してきた
(おいおい、そんなに慌てたらこけ…)
陸「いってぇーーーーー!!」
空「あははは!!ドジだなー、陸は」
陸「うっせぇ、おりゃーー!」
空「あ、やったな!どりゃー!」
「「ぎゃははははは笑笑」」
やっぱりこけた、からの雪合戦。
いつも期待を裏切らないね。うん。
『でも寒いなぁ、やっぱり』
すっかり冷えきった手を擦っていると、
起きる(正確には起こされる)直前に聞こえた鐘の音のことを思い出した。
(あれはなんだったんだろう…)
考える人のように顎に手を当て
ミステリアスな雰囲気を醸し出して考えていると
…ぐぅーーーー
完全に雰囲気ぶち壊しな音が鳴った。
まぁでも考え事してたら、お腹すいたなー
腹が減っては戦ができぬ
って言うし、とりあえずご飯だ!
(ん?考える時間短いって?
いやいや、甘いな。
切り替え上手とでも言ってくれ。)
私は半ば早足で階段を降り、
マザーがいるダイニングへと向かった。